【図解でわかる】函渠(かんきょ)工事って何?地図に残らない、でも街を支える仕事の裏側


はじめに:「函渠」、この漢字、読めますか?

「函渠(かんきょ)」。

建設業界に興味を持ち始めた方でも、なかなか耳にしない言葉かもしれません。

ですが、この「函渠工事」は、私たちが安全で快適な毎日を送る上で、決して欠かすことのできない、非常に重要な社会インフラ工事の一つです。


この記事では、「函渠工事って、いったい何?」「どうやって作るの?」という素朴な疑問から、その仕事ならではの奥深いやりがいまで、この道60年以上のプロである私たち木下建設が、図解を交えながら分かりやすく解説します。



函渠工事とは?一言でいうと「地下のライフライン用トンネル」です

函渠工事とは、一言でいうと、地面の下に、主にコンクリート製の「函(はこ)」、つまり『四角いトンネル』を築造する工事のことです。


この地下トンネルの中には、水道管、下水管、電力線、通信ケーブルといった、私たちの生活を支える重要なライフラインがまとめて収容されます。時には、小さな川や水路そのものとして機能することもあります。



普段、私たちがその存在を意識することはありません。しかし、この函渠が街の地下に血管のように張り巡らされているおかげで、私たちは安全に水や電気を使い、快適な情報通信を行うことができるのです。まさに、縁の下の力持ちならぬ、「地面の下の力持ち」と言えるでしょう。



どうやって作るの?施工管理の腕の見せ所

では、この重要なインフラは、どのようにして作られるのでしょうか。一連の流れを、施工管理の視点から見ていきましょう。


1.調査・設計

まず、その土地の地盤の固さや、他の埋設物の位置などを徹底的に調査し、最適なルートと構造を設計します。全ての工事は、この精密な計画から始まります。


2.掘削(くっさく)・土留め(どどめ)

設計図に基づき、道路などを掘削して溝を作ります。この時、周囲の土が崩れてこないように、「土留め壁」という鉄の壁を設置し、安全を確保します。


3.基礎工

掘った溝の底に、砂利やコンクリートを敷き詰め、函渠を設置するための頑丈な基礎を築きます。見えない部分ですが、構造物全体の安定性を左右する、非常に重要な工程です。


4.ボックスカルバートの設置

工場で作られたコンクリート製の四角いブロック、「ボックスカルバート」を、クレーンを使って一つひとつ、慎重に溝の中へ下ろしていきます。重さが数十トンにもなるブロックを、ミリ単位の精度で、寸分の狂いなく設置していく様は、まさにプロの仕事。施工管理者の的確な指示と、職人たちの熟練の技術が光る瞬間です。


5.接続・防水処理

設置したブロック同士を繋ぎ合わせ、隙間から水が浸入しないように、特殊な材料で厳重に防水処理を施します。


6.埋め戻し・舗装

函渠の周りを土で丁寧に埋め戻し、最後はアスファルトなどで道路を元通りに舗装して、工事は完了です。


このように、函渠工事は多様な工程と専門技術が求められる、非常に高度な工事です。これら全てを計画通り、かつ安全に進行させることこそ、施工管理の腕の見せ所なのです。



この仕事の、本当のやりがい

完成すれば、人の目に触れることはほとんどない函渠工事。しかし、この仕事には、他では味わえない確かな誇りとやりがいがあります。


1.見えない場所で、街の未来を100年支える誇り

自分が携わった函渠は、この先50年、100年と、その街のライフラインを支え続けます。派手さはありませんが、人々の「当たり前の日常」を根本から守っているという事実は、大きな誇りとなります。


2.地図には載らない「達成感」

複雑な条件の中で、多くの専門家チームをまとめ上げ、ミリ単位の精度が求められる構造物を無事に完成させた時の達成感は格別です。それは、目に見える建物とはまた違った、技術者としての静かで深い喜びです。


3.プロフェッショナルとしての成長

函渠工事は、土木工学の知識、測量技術、重機の知識、安全管理など、幅広い専門性が求められます。この特殊な工事をマスターすることは、あなたを市場価値の高い、どこへ行っても通用するプロフェッショナルへと成長させてくれます。



まとめ

私たち木下建設は、こうした一見地味でも、社会に不可欠なインフラ工事に、創業以来61年間、真摯に取り組んできました。それは、地域の皆様の安全で快適な暮らしを守ることが、私たちの使命だと信じているからです。


この「見えない仕事」に、未来を感じたあなたへ

派手さよりも、確かな技術と社会への貢献を大切にしたい。もしあなたがそう考えるなら、私たちの仕事に、もう少しだけ触れてみませんか?木下建設では、未来のインフラを支える、新しい仲間を募集しています。


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